賽の河原で待ち合わせ

死ぬまで、女をやる予定

おっぱいの愚痴のすべて

母乳がつらいということを、むちゃくちゃ長く書きました。書きなぐっているのでちゃんとした文章になってないです。ただ、書きなぐってスッキリしました。

 


母乳に対してのこだわりはまったくなかった。

そしてなぜか、自分は絶対に母乳が出ないだろうなと変に確信していた。それがえらく見当外れで、産んで三日後にはピューピューと噴出するほど母乳が出た。本当に、人生はいつも思ってたんと違う。

 


そもそも母乳がこわい。

だってほぼ血液でしょ?あの液体。それを飲ませて人を育てるということが冷静に考えてこわい。こんなこと言うと怒られそうだけど、グロくないですか?出産時の出血も多量だったし、妊娠中からずっと貧血だった。鉄剤を処方されてて、視界がチカチカするのに母乳なんか出ないだろうと思っていた。なのに、出た。

母乳に対してのこだわりはまったくなかったが、母乳を出すための努力を怠っていると怒られたくないという気持ちはあった。怒られたくないってつくづく自分本位で、赤ちゃんのことなんて何にも考えてないんだけど、本当に正直なところそう思っていた。誰に怒られるんだよとお思いでしょうが、世間様とか、親とか、病院とかからです。愚かなので本気でそう思っていて、だから妊娠37週から乳頭マッサージを毎日したし、入院中も痛みを堪えてミルクの前に必ず乳首をくわえさせた。

 


たしかに、初乳はできることなら飲ませてあげたいと思っていた。そしてそこはクリアしたのだから、もうミルクでいってもいいんじゃないか。だけど、病院で「ちゃんとおっぱい出てるから!よかったね!母乳でやっていけるよ!夜間だけ母乳のあとにミルクを足して、母乳メインでいこう!自信もって!」と励まされて、いえ!ミルクをもっと増やしたいんです!とグイグイ主張することができなかった。それにしても自信持ってってなんだよ。別にわたしの成果じゃないじゃん、運じゃん。

 


実母も義母も、わたしの顔を見るととりあえず母乳の話をする。絶対に母乳じゃなきゃね!母乳以外ありえない!と言われるわけではない。

ただ、母乳が出てよかったね、母乳がよく出る食べものはアレとコレよ、わたしも母乳が足りないのかしら?と悩んで相談に行ったのよ、母乳を出すためのマッサージに行ったのよ、こんなものを食べるようにして母乳を出したのよ、ミルクを足さなくてもよくなったの?よかったね、母乳が足りるようになったのね、泣いてるわね母乳が欲しいんじゃない?、機嫌がいいわね母乳が足りてるのね、などなど

悪気はないのはわかっている。ただいつも母乳の話をされるだけ。わたしの顔を見ると、その話題しか思いつかないのかもしれない。

 


睡眠不足がピークのとき、赤ちゃんが5時間程ぶっ続けで寝てくれて、とてもありがたい夜があった。翌日、おっぱいが張りすぎて8度2分の熱が出た。頭が割れそうに痛く、おっぱいは岩のようにカンカン、痛い痛い痛い痛い。だけど赤ちゃんと2人きりで病院にも行けない。あの日のことはちょっと記憶にないくらい辛かった。オットの帰りを待ちながらひたすら号泣していた。赤ちゃんもわたしの腕の中でギャンギャンと泣き叫んでいた。

 


それ以降、乳腺炎がものすごくこわい。だからおっぱいが張りすぎないように、定期的に赤ちゃんに吸ってもらわなくてはいけない。しかし、吸ってもらうとどんどん母乳が作られる。抜け出せないループ。もはや罠だと思う。

 


痛みはどうやら4種類ある。吸われる時の乳首の痛み、吸われていないときの乳首の痛み、お乳が作られるときの痛み、お乳が溜まっておっぱいが張ってしまう痛み。つまりだいたい常に痛い。吸わせても痛いし吸わせなくても痛い。そして夜間授乳のせいで眠い。常に痛くて眠いので、1日のうち86パーセントくらいおっぱいのことを考えている。

 


妊娠中に読んだ育児関連の文章には、授乳間隔は約3時間だと書いてあった。わたしは、なるほど3時間は赤ちゃんが寝てくれて自分もその間に眠れるのだろうと思っていたが、実際は違った。

授乳開始時間から次の授乳開始時間までだいたい3時間。ただし母乳の場合は1時間半から2時間おきのこともめずらしくない。片乳10分10分で授乳をするのだが、だからといってこれが20分で終わるわけではない。赤ちゃんが吸いやすいように乳頭をマッサージし、げっぷをさせながら吸わせ、うまく吸えなかったり途中で寝落ちしそうなところを起こしながら飲ませるので、両乳を飲むのに40分くらいかかる。それから前後にオムツを替えると約1時間かかる。そして寝かしつけがスムーズに出来たとして30分。そこから1時間程で起きて泣き出し、次の授乳をする。赤ちゃんから離れられない。

 

オットの帰宅後、次の授乳まで1時間あるからとオットに赤ちゃんを託してお風呂に入っても、出たときにはギャン泣きの赤ちゃんを抱えたオットが「おっぱい欲しいね〜」とあやしている。オットは何も悪くないのだが、赤ちゃんを泣かせてお風呂に入っていた自分が責められているように感じる。だって次の授乳まで1時間あったから入ったのに、1時間あったのに、こんなに泣いていてかわいそう、オットもこんなに泣かれ続けて大変だろうと思う。全裸で泣けてくる。一刻も早く乳を提供するために、大急ぎでパジャマを着なくてはならない。なんで?1時間あったのに。なんで?ああ、おっぱいが張って痛い。かわいそうに。赤ちゃんの泣き声に反応して、おっぱいから乳が噴出し、弧を描き、床を濡らす。

 


おっぱいが張るので横を向いて寝られない。授乳しようとすると赤ちゃんの顔に母乳が噴出する。赤ちゃんの顔の肌荒れの原因になっているのではないかと心配になる。ベッドも服も下着も母乳だらけ。おっぱいを飲ませているとき、気分が悪くなる。ディーマーというらしい。少しずつ症状が軽くなってはいるが、最初の頃はとくに気持ちがチーンとなっていた。乳首を吸われるとゾワゾワ?ザワザワ?背中の内側のあたりに不快感?不安感?焦燥感?がざわめく。スマホで何か文章を読むと少し気が紛れるので、今も授乳しながら何かを読むようにしている。変に喉が乾く。肩が尋常じゃなく凝る。そのせいで頭も痛い。でも頭痛薬を気軽に飲むことが憚られる。赤ちゃんから離れられない。常に次の授乳時間を気にしている。

 


おっぱいを吸ってもらわないとまた乳腺炎になってしまうかもしれない。搾乳というのはどうだろうと調べると、搾乳もやり方を間違えると乳腺炎を悪化させると書いてある。こわくて「搾乳やり方」でググってみたところ仕事や重要な用事でどうしても赤ちゃんのそばを離れなければならないときは搾乳しましょうと書いてある。どうしてものときじゃないと、搾乳してはいけないのだろうか?というかミルクはダメなのだろうか?

 

 

 

助産師さんに相談しても、せっかく母乳が出ているのにミルクを増やしたいのか?頑張ってみたほうがいい、安易にミルクを増やすとおっぱいの出が悪くなってしまうと言われる。母乳頑張っててえらいですね!と励まされる。では、母乳を頑張らないとえらくないのだろうか。というか、ミルクでの子育ては頑張ってないことになるのだろうか。

 


母乳で育てたいと強く望んでいても、母乳が出ないことに苦しんでいる人もたくさんいることはもちろん知っている。だから母乳が出ることはありがたいことなんだと、そうですよねと思う。思うけれど、それと今わたしがつらいことは関係ないはずだ。調べてみても、ミルクでも母乳でも関係なく、ちゃんと子は育つということがわかる。それなのに自分も、みんなのいうことを無視してわたしは辛いからミルクにします!と決断することが、ものすごく憚られる。

 

わたしのまわりは完全ミルクで育てている人がほとんどいないのもあって、みんなが頑張ってできていることなのに、わたしだけ出来ないって言うのは頑張りが足りないってことだよなと自分を責める声が聞こえる。ミルクに移行してもしも赤ちゃんが太ってしまったら、ミルクだからだと批判されるんじゃないかと思う。ミルクに移行したらスキンシップが減ってしまうのではないだろうか。もっと頑張るべきだろうか。3ヶ月まで頑張れば母乳が軌道にのると書いてある。そこまで頑張るべきだろうか。もちろん乳首を咥える我が子はめちゃくちゃ愛おしい。可愛い。これが見れなくなるのが、全く寂しくないわけじゃない。でも、母乳がつらい。母乳に全てを支配されている。つらい。おわかりだろう、だいぶ追い詰められているんですよ、これが。

 

 

 

オットはかなり早い段階から完全ミルクへの移行を勧めてくれていたのに、わたしが決断できなかった。だけど、もう決めました。キッカケとかないです。もうね、つらいからやめる。それでいい。乳腺炎がこわいけれど、気をつけてどうにか少しずつ移行していこう。今すぐにじゃないけど。決めた、決めたぞー。決めたら、決めただけで一気に気持ちが楽になった。決めた。決めました。決めましたよ!!!!!やめます!!!!よっし!!!!!!!おりゃ!!